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DATE: CATEGORY: お嫁本編
 こんばんは、すいもうです。
「なろう」のPVが1800突破しました。
 1700は昨日の日付が変わったときに突破していたようです←汗
 寝ているときに、突破とは、これいかに←苦笑
 いつもありがとうございます。これからも頑張って行きます
 まぁ、それはさておき。
 今回もマヴィオさんですね。
 逃げ出すと、立ち上がるのが難しくなってしまう、って感じですね。
 どういうことなのかは、追記にて。
 では、お黄泉ください。


 異彩は、なにを見るのか~揺れる心~ 百二十四話「折れるとき」

 部屋の中が暗かった。
 いつのまにか、部屋の灯りを落としていた。灯りのない部屋の中で、私はひとりベッドに背中を預けていた。フローリングの冷たさが、いまは心地よかった。
「……私は、傷つけてしまった」
 なんで気づけなかったんだろう。どうしてわからなかったんだろう。なぜ自分の気持ちと向き合わなかったのだろう。いくつもの「なんで」と「どうして」と「なぜ」が、次々に脳裏をよぎる。そのたびに、心が軋んでいく。軋む心は、とてつもない痛みを、私に与えてくれた。
 けれど、どんなに心が軋んでも、私の罪を贖ってくれるわけじゃなかった。
「なんで、私は」
 前髪を掴む。視界が自然と歪んでいく。でも、泣くわけにはいかない。私が泣いていいわけがなかった。だって泣いてしまえば、アインハルトさんのいままでを愚弄することになる。
 かわいそうなことをしてしまった。なんてことを私が言っていいわけがなかった。どの口で、そんなことが言える。言えるわけがないだろう。言っていいわけがないだろう。
 かといって、いままでの非礼を詫び、彼女を私のものにするわけにもいかない。いや、それだけは絶対にしちゃいけない。
 普通は、いままでのことを詫びて、これからの人生をあなたのために使うと言うべきなのだろう。
 でも、私はあまりにも傷つけてすぎてしまっている。なのにどうして言えるのだろうか。あなたを、これからの人生で幸せにしてみせるだなんて。どうして言えるだろうか。言えるわけがなかった。それこそ恥知らずだ。
 ああ、わかっている。恥知らずと考えること自体が、間違っていることは。あの人をいまのいままで傷つけてきたことを、私はただ認めたくないってことは。認めたくないがあまり、あの人を幸せにするということを、恥知らずだと言って、逃げようとしていることは。そんなのはわかっている。わかりきっている。
 だけど、もう逃げてしまったんだ。
 あの部屋の前から、私は逃げ出したんだ。その時点で、もう手遅れだった。これ以上逃げたところで、なにかが変わるわけじゃない。なにも変わらない。私が卑怯者であることは、なにひとつ変わらない。
 だから逃げてもいいじゃないか。これ以上逃げたところで、なにも変わらない。ならいっそのこと、すべてから逃げてしまえばいい。なにもかもを捨てて、逃げ去ってしまえばいい。
 そうすれば、もう痛みを気にすることはない。なにも気にせずにいられる。そう、なにもかもを忘れられる。アインハルトさんのことであっても──。
『ヴィヴィオさん』
 耳朶を震わせたのは、アインハルトさんの声だ。けれどアインハルトさんは、目の前にいない。念話でもなかった。聞こえたのは、幻聴だった。いや、幻聴というよりも、いつのまにか耳に残った、あの人の声だった。
『アインハルト・ストラトス。参りました』
 初めて会ったとき、あの人はそう名乗った。必要最低限の自己紹介。笑うことなく、ただまっすぐに私を見つめていた異彩の瞳。もう何年も前のことだって言うのに、私はまだ憶えていた。いや忘れられるわけがない。だって、私はきっとあのときから、アインハルトさんに惹かれていたんだろうから。
 初めてのスパーリングでは、手も足も出なかった。アインハルトさんは、そんな私に失望していたようだった。曰く、あの人にとって、私はあの人の求める「聖王女」ではなかった。あたり前だ。だって私は高町ヴィヴィオであり、「聖王女」オリヴィエじゃない。たとえ、私自身の産まれがどんなものであったとしても、私は高町ヴィヴィオであり、オリヴィエじゃない。そしてあの人が求めていたのは、オリヴィエだった。
 だからこその失望。本来であれば、それまでの関係だっただろう。でも私はそれまでの関係にしたくなかった。どうしてなのかは、当時はわからなかった。
 ただ気づいたときには、もう一度スパーリングをしてほしい、と頼み込んだ。アインハルトさんは受け入れてくれた。その一週間後のスパーリングでは、どうにか食らいつくことができた。けれど結果は負けだった。それでもあの人は、私を認めてくれた。
「聖王女」ではなく、「高町ヴィヴィオ」を認めてくれたんだ。それが初めてだったわけじゃない。初めて誰かに認めてもらったってわけじゃない。それでも、私はあの人が私を認めてくれたのが、なによりも嬉しかった。どうして嬉しかったのか。その理由はいまならわかる。
「私は、アインハルトさんが、あのときから好きだったんだ」
 フェイトママのことを好きだと思っていた。憧れていた。だからこそ、アインハルトさんに惹かれていることを、気づかないようにしていた。いや気づかないふりをしていたんだ。だって気づいてしまえば、私は──。
「「また」失っちゃうから。失いたくない人を、「また」失ってしまうから」
 自分でもなにを言っているんだろうと思う。でも、私が気づかないふりをしていたのは、そういう理由だった。自分でもわからないのに、そういう理由であることだけは、はっきりと理解できた。
 でも、そんな身勝手な理由だからこそ、私はあの人を傷付け続けた。そしてそれをこうして突き付けられた。突きつけられた以上は、もう目を背けることはできない。だからと言って、受け入れられるわけでもなかった。
「失いたくない人を、私は「また」失っちゃうのかな」
 誰にも言うわけでもない。問いかけでもない言葉は、誰の耳にも届くことなく、ただ虚空を震わせるだけだった……。
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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