十八話です。では、お黄泉ください。
なのは様外伝〜絆、深まるとき〜第十八話「誓いの言葉」
──それは一つの約束でした。愛しい人と交わしたたった一つの約束。大好きなあなたの傍に戻ってこられた。だけど、それは私一人の力じゃない。私の背を押してくれた人がいるから。でも、そのことを私は話さない。だって、話しても信じないと思うから。ありえないと言われるから。なによりも、あなたを傷つけてしまいそうだから……。
こんばんは、高町なのはです。
今私は自分の病室にフェイトちゃんと一緒にいます。ちなみに病室は真っ暗にしてあります。……ここまで言えば、なにをしているのかはお解りでしょうけど、あえて言います。今フェイトちゃんを愛しています。……とは言ってもまだキスしかしてないのですけどね。が、それでも皆さんにお見せすることはできません。だって、フェイトちゃんの艶姿を見られるのは私だけなのですから。
と、私が考えていると──
「ん……ふぁ……? なのは……どうしたの」
フェイトちゃんは焦点の合っていない瞳を向けながら、そう聞いてきました。
──いけない。フェイトちゃんのことほったらかしにしていたの。
そう思った私は──
「フェイトちゃんが可愛くて見とれていただけだよ」
そう言ってフェイトちゃんの唇に自分のそれを重ねました。するとフェイトちゃんの舌が私の口の中に入ってきました。私は驚いて彼女の方を見ます。フェイトちゃんは耳まで真っ赤にしていました。そんなフェイトちゃんが愛しくて、気付いたらフェイトちゃんを抱きしめていました。そして、彼女の舌に自分のそれを絡めました。それから右腕だけでフェイトちゃんを抱きしめて、空いた左手を彼女の服の裾に入れ、フェイトちゃんの白い肌に触れました。するとフェイトちゃんは体をビクと震わせました。
私はフェイトちゃんの反応を見ながら、こうしてフェイトちゃんと触れ合えることを一人の女性に感謝しました。だって、その人がいたから私は今フェイトちゃんを愛していられるのですから。
「起きなさい」
その一言で私は目を覚ましました。そして目の前に広がる暗闇を見て、あ然としました。だって、さっきまで私の目の前にあったのは今にも泣きそうなヴィータちゃんの姿と白い雪だったのです。それが誰かに起こされたら、目の前には暗闇しかないのですから。あ然となるのも仕方ありません。
と、私が現状を呑み込めないでいると──
「……やっと起きたわね」
溜め息交じりな声が聞こえてきました。私はその声がした方に顔を向けました。するとそこには──
「……プレシアさん」
黒いドレスを身に着けたプレシアさんが立っていました。
「直接会うのはこれで二度目ね」
「……あのときはお世話になりました。フェイトちゃんと恋人同士になれたのもプレシアさんのお陰です」
私はそう言って頭を下げました。すると──
「そんなことより、早く行きなさい」
「え? どこにですか?」
「……あの子のところに」
そう言ってプレシアさんは視線を外しました。私はなにかあるのかなと思ってプレシアさんの視線を追うとそこにはモニターのようなものがあり、そのモニターには目に涙を溜めたフェイトちゃんが映し出されていました。そしてフェイトちゃんは──
『……なのは、お願いだよ……お願いだから、目を覚まして。……私の名前を呼んでよっ!』
嗚咽を混じらせて泣いてしまいました。そんな彼女を目にして私は──
「フェイトちゃん!」
彼女の名を口にして叫びました。すると──
『っ!』
私の声が聞こえたのか、フェイトちゃんは眠っている私の正面に回りました。が、すぐに顔を俯かせてしまいました。そしてフェイトちゃんは──
『なのは……起きてよ』
そう呟きました。私は自分が許せなくなりました。フェイトちゃんを泣かせた自分自身に。
「プレシアさん……教えてください。どうすればフェイトちゃんのところに……私の居場所に帰れますか?」
「……簡単よ」
そう言ってプレシアさんは私の頭に手を乗せました。すると急に意識が朦朧としはじめるのです。私は薄れゆく意識の中で──
「……あの子を。フェイトを幸せにしてあげて」
そう言って微笑みを浮かべるプレシアさんを目にしました。それから私は意識を失いました。
その後は皆さんも知っての通りです。
今思うとあれはもしかしたら夢だったのかもしれません。でも、たとえ夢であろうともあなたが私を救ってくれたのは事実です。だから、私はあなたに感謝します。そして、誓います。娘さんを、フェイトちゃんを幸せにすることを。だから、見守っていてください。プレシアさん……。
つづくなの
テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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