こんばんは、すいもうです。
さて、まぁた遅くなりましたね。
でも、続きは早々とUpしますので。
まぁ、それはさておきです。
今回はシュテル視点です。
お話ですね。
どういうことなのかは、追記にて。
では、お黄泉ください。
お嫁フェイトさん日記~愛するからこそ=逃避行~・中編‐28
「さて、ふたりが万年新婚夫婦であることがわかったところで」
ナノハとフェイトがふたりの世界に入ろうとしていたところで、咳払いをする。ふたりは慌てて離れました。もっともナノハはいまだにフェイトの肩を抱いているので、離れたと言っても、わずかに距離を取ったというだけのことにしかすぎないのですが。
まぁ、このふたりに関しては特に問題はない。昔からこんな感じでしたから、それを問題にするのは正直いまさらです。そんなことよりもいま大事なのは、「ちびっ子」のレヴィが向かった二階のことです。もっと言えば、「ちびっ子」の私が暴走していないかでした。
「万年新婚夫婦って言われても」
「いつも通りのだけなんだけどね」
ナノハとフェイトはお互いに見合わせながら、困った顔をしています。失言でした。万年新婚夫婦のうえに、無自覚という言葉をつけるべきでしたね。もっとも、こういうところも昔となにひとつ変わっていないのですが。まぁそれもまたいまさらですね。
「いつも通りにしていることが、万年新婚夫婦だと言っているのです。まぁ、それはいいです。いまはそれよりも大事なことがありますので」
「大事なこと?」
「なにかあるかな?」
ナノハとフェイトは揃って首を傾げてくれます。自分たちの世界に入るだけならまだましですが、ほかのことに関しても無自覚というのは正直どうしたものなのでしょうか。というか、さっきまで娘たちのことを話していたはずなのに、いまやすっかりと忘れてしまっているのは、親としてはどうなんでしょうか。
「「ちびっ子」の私。失礼、あなた方の娘である「シュテル」がなにかしでかさないか。それが気になるのです」
そう言うと、ようやくナノハもフェイトも理解してくれたみたいです。以前会ったときも思いましたが、あの子は不安定です。不安定すぎる部分を持ち合わせいた。それはまるでかつてのフェイトを思わせてくれます。
「そういえば、レヴィがシュテルを起こしに行くって言っていたね。面識があるってことに気を取られていた」
ナノハはいまさらながらに焦った顔をしています。その表情の意味が「ちびっ子」のレヴィを襲いかねないということであるのはまず間違いないでしょう。実際私もそう思います。もっとも本当に「ちびっ子」のレヴィが嫌がるのであれば、あの子もやめるでしょうが、それは同時に最悪の状況手前まで行きかねないということでもある。そこまであの子はやりかねない。そういう不安定さを私は感じます。それはナノハだけではなく、死ぬ思いをして産み落としたフェイトもまた重々理解しているようです。ナノハ以上に焦った顔をしていますから。
「そういうわけですから、あの子たちのところに行きたいと思います」
「そうだね。じゃあ」
「一緒に行く、とは言わないでくださいね」
「なんで?」
ナノハの言葉を先んじて潰す。当のナノハは納得できないと顔に書いていますが、どうにもナノハはいろいろと理解していないようなので、あえてここは突き放した方がいいでしょう。
「はっきりと言わせていただきますと、ナノハが着いてくると話が面倒になります。という以前に、話にもならないのです」
「そんなことは」
「ないと言えますか?」
ナノハをじっと見つめると、ナノハはなにも言い返しては来ませんでした。自身でも自覚はあるのでしょうね。ナノハが来てくれると助かる部分はあります。けれど同時に厄介なことにも発展するのです。
聞いた話では、実際あの子が「ちびっ子」のレヴィを組み伏すと、ほぼ確実にナノハが制止させるようなのですが、その後やはりほぼ確実に親子喧嘩が勃発するというではないですか。親子喧嘩をするのが悪いことではないとは思うのです。ですが、親子喧嘩をするせいで、きちんとナノハはあの子と話ができていないのではないでしょうか。もしくは話をしていても、平行線をたどるだけなのではないでしょうか。あの子が行っていることが、実は非常に危ういことであるにあの子は気づいていないし、気づかせることもできないでいるのではないでしょうか。
それでは、いつまで経っても現状は変わらない。むしろ歳を経るごとに状況が悪化しかねません。それを避けるためには、いま話をするべきなのです。それも頭ごなしに怒鳴るでもなく、実力行使をするわけでもない。ただただ真摯に彼女と向き合うべきだと私は思います。
それをするためには、いまナノハに付き合ってもらうわけにはいきません。それではなんの問題解決にもなっていないのですから。
「ゆえに、ナノハはもちろん、フェイトにも付き合ってもらうわけにはいきません」
「私も?」
「ええ。フェイトが一緒ですと、ナノハをここで押さえる人がいなくなりますから」
「なるほど」
「なので、私はひとりで向かいます。その間ふたりは彼女の相手をしていてください」
リビングの方を見やると、ふたりもリビングに顔を向けました。そこにはテーブルに顔を突っ伏したままの高町クレアがいました。
「お腹空いたぁ」
消え入りそうなほどの小声で高町クレアは言いました。どうにもお腹が空きすぎて、動けなくなっているみたいですね。フェイトが忘れていた、と申し訳なさそうな顔をしています。
「というわけで、こちらはお願いします」
そう言って、私はふたりのそばから離れて、二階へと向かおうとした、そのときです。
「シュテル」
ナノハが声をかけてきました。なんでしょう、と振り返ると、ナノハは真剣な顔をしていました。
「ひとつ聞きたいんだ」
「なにをでしょうか?」
「シュテルは」
なんのためにあの子たちの面倒を看てくれているのかな。ナノハは表情だけではなく、とても真剣なまなざしを向けてそう言いました……。
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学
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