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DATE: CATEGORY: お嫁本編
 こんばんは、すいもうです。
 さて、本日は、さらっと語るカコバナ~です。
 略して(?)サラバナです。
 ……なんだか、野菜とかでありそうなネーミングですが、あえてスルーしてくださいな(ぺこり
 まぁ、とにかくです。
 では、お黄泉ください。


 お嫁フェイトさん日記~夕陽=懐かしい思い出なの~・中編‐6

「あれは、そうだなぁ、十三年くらい前だったかな」
 対面側に座るクレア。クレアは興味深そうな表情を浮かべながら私を見つめていた。その表情を見つめながら、私はフェイトちゃんとはじめてここに来たこと──遊園地でのデートを思い出していた。もっとも、思い出したくないものでもあったけど。
 でも、それも仕方がない。なにせ、失敗の連続だったのだから。思い出すのも正直言って恥ずかしい。
 フェイトちゃんとのデートということで舞いあがりすぎて、前の日になかなか眠れず、結果、待ち合わせの時間ちょうどに目覚めてしまった。大急ぎで準備をしたけど、待ち合わせの時間ちょうどに起きたのだから、当然間に合うはずもなかった。
 結局、待ち合わせ場所にたどり着いたのは、待ち合わせの時間から一時間が経ってからだった。はじまりからして最悪なことになっていた。その時点でそのときの私の頭上に暗雲がたちこめていたのは言うまでもなかった。
「あれは、正直、なにやっているんだろうなぁ、って自分で思ったよ。それ以前にお母さんはよく待っていてくれたなぁって思ったね、うん。だって、一時間も待たされたらさ。誰だって怒るよね。怒って帰っちゃうよね? なのに、それを待っていてくれたんだよ、お母さんはさ」
「そうなの?」
「うん。怒っているわけでもなく、かといって、すねているわけでもない。遅れてきた私に文句も言わずに、一言おはよう、って言ってくれた」
 普通なら文句を言う状況だったし、言われても仕方がない状況でもあった。だというのにも関わらず、フェイトちゃんは笑っていた。笑って私を迎え入れてくれた。そのことに感謝しつつも、私はフェイトちゃんを楽しませようとしか考えていなかった。失敗を挽回しようとしか考えていなかった。
「当時は、お父さんも子供だったからね。余裕のある行動なんてできるはずもなかった。それに、はじめから躓いちゃって、そのことを気にかけすぎて、周りが見えなくなっていたんだ」
 そう、周りが見えていなかった。そうなれば、後の結果がどうなるかは言うまでもなく、失敗の連続だった。そもそもはじまりからすでに躓いているのだから、ある意味当然だったかもしれない。それでも、どうにか汚名を返上しようにもさらなる失敗を重ねていった。
「結果は、今日と同じで、空回りの連続だったよ。お母さんを楽しませて、はじめての遊園地の思い出を楽しいものにしてあげようって思っていたのにね」
「はじめて?」
「うん。そうだよ。お母さんは、お父さんと来たときがはじめてだったんだよ。遊園地に来ることはさ」
「そう、なの?」
「うん。お母さんは、まぁ、昔にいろいろとあってね。普通の子が普通に体験するようなことのほとんどをしたことがなかった。だから、遊園地に来たこともなかった。そんなお母さんのためにお父さんは頑張っていっぱい楽しんでもらおうとしたんだ」
 フェイトちゃんの出生。それはフェイトちゃんに無断で話せることじゃなかった。それに、当時のクレアに話すことでもなかった。というよりも話せないことだった。なんて言っていいのか。当時も今もわからなかった。実を言えば、今でもまだクレア達にフェイトちゃんの出生のことを話してはいない。
 ヴィヴィオにはすでに伝えてある。というよりも、ヴィヴィオの場合は話したというよりも、確認させられた、といった方がいいかもしれない。どこでどう聞いたのかは知らないけど、ヴィヴィオがある日プロジェクトFについて聞いてきた。
 ごまかすことはできなかった。しようと思えば、できたかもしれない。だけど、ヴィヴィオの真剣な表情を見たら、ごまかすことはできなかった。だから、ヴィヴィオには話してあった。でも、それは今関係ないので割愛。
「だけど、まぁ、結果は、今も言った通り失敗の連続。その日一日中私は空回りを続けていたんだ。お母さんが──フェイトちゃんがどんな思いでお父さんとのデートをしてくれていたのかにも気付かずに、失敗ばかりに目を向けていたよ」
 やることなすこと失敗だった。自信たっぷりに園内を案内しようとしたら、道に迷うわ。あげく、フェイトちゃんに連れて行ってもらうし。お化け屋敷に入れば、怖がったフェイトちゃんに抱きついてもらおうとしたら、逆に私からフェイトちゃんに抱きついたあげく、気絶するわで、もう散々だった。
 絶対に呆れられているとか。嫌われたとか。カッコ悪いとか思われているだろうなぁ、と後ろ向きなことばかりを考えていた。だから、フェイトちゃんが楽しそうにしていることにまったくと言っていいほどに気付かないまま、時間だけが過ぎて行った。
「それで、とっておき、って思ってこの観覧車に乗ったんだけど、どうもお母さんはあんまり感動とかそういうものを憶えなかったみたいでね。あー、全部失敗かぁって落ち込んだんだ。でもね。そう思ってすぐに、お母さんが言ったんだ。ありがとう、って」
 感動していないように見えて、フェイトちゃんはすごく感動してくれていた。そして、その日一日ずっと楽しかったとも言ってくれた。
 そのときにフェイトちゃんが浮かべてくれていた笑顔は今でも忘れられない。二十数年にも及ぶフェイトちゃんと過ごした日々の中でもとびっきりの笑顔だった、と言っていいものだった。その笑顔を思い出しながら私は目の前にいるクレアに話しかけた。
「まぁ、結局なにが言いたいのか、と言うとね。その日も大変だったし、フェイトちゃんにもいろいろと気を使ってもらったり、迷惑をかけちゃったけどさ。ありがとう、楽しかったよって言ってもらえることがなによりも嬉しいってこと。
 その一言をもらえただけで、一日の疲れなんか吹っ飛んじゃうくらいにね。大好きな人からの、ありがとうって言ってもらえるのはすごく嬉しいことなんだ。
 だからね。クレアもごめんなさい、とか悪い子だったとか、言わずに、ありがとう、楽しかったよって言ってくれるとお父さんは嬉しいな。お父さんは、お母さんも大好きだけど、クレアも大好きなんだ。だからさ。言ってくれるかな? クレア」
 クレアをじっと見つめた。すると、クレアは私をまっすぐに見上げながら、呟いてくれた。
「ありがとう。たのしかったよ、おとうさん」
 今にも消え入りそうなクレアの言葉。その言葉に当時の私はこう返した。
「どういたしまして」
 目の前にいる愛娘に向かって私はにこやかに笑いかけたのだった……。

                   とりあえず、言葉だけでも十分だよね

 はい、以上です。さて、↑で親バカなあのお方がなにやら申していますが、そこは、まぁ、気にしないでくださいね。さて、次回はまだまだ続きます。どういう展開になるのかは次回にて。それでは、今夜はこの辺で。では、また。
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テーマ : 二次創作 - ジャンル : 小説・文学

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